[1]高精度レジスタ・アレイ型マルチチャンネル・アッテネーター
AVアンプが扱うソース信号は、キヤリブレーション用ボリュームーバランスボリュームーメインポリュレムと、少なくとも3段のボリューム回路を通過します。
さらにトーン回路が加わる場合もあり、クオリティの高い再生音を求めたとき、ここでの音質劣化は致命的とすらいえます。
また、接点式のアナログボリュームや電子ポリュームはそれ自体が音質的に大きな問題を抱えており、後段のラインアンプでの“お化粧”で音を補正しているのが実状です。
ナカミチは、AVコントロールアンプの生命線はボリュームにあるとの判断から、音質劣化のないまったく新しいボリューム方式を開発しました。キヤリプレーション、音量調整、バランス調整の基本機能をもたせながら、ピュア伝送を実現する まさに奇頗のようなフイーチヤーをもった「高精度レジスタ・アレイ型マルチチャンネル・アッテネーター」がそれです。その構成をご説明しましょう。
基本原理は、D/Aコンバーター2基に収められた金属被膜抵抗の切り替えによって音量調整するというもの。きわめて高精度の工業用12ビットDACを使用するとともに、マイコン制御により各調整ポイントでギャングエラーが最小点になるよう2基のDACの役割分担を細かく設定しています。
図1は、このボリュームの動作基本原理を表したものです。
図1:高精度レジスタ・アレイ型マルチチャンネル・アッテネーターの動作基本原理(一段分のみ)

オペアンプのゲインは、抵抗R2/R1の比率で決まりますが、固定抵抗R2と可変抵抗Rlを使用することでゲインの幅(アッテネーション)が決定されます。IA−1zでは、マイクロプロセッサー制御の12ビットD/AコンバーターがR1として可変抵抗値を提供します。
0.5dBの高精度と96dBの最大アッテネーションレンジを実現するため、IA−1zは各チャンネルにこの回路をカスケード接続で2組使用しています(図2参照)。
図2:高精度レジスタ・アレイ型マルチチャンネル・アッテネーターの構成(1チャンネル分)

音質への配慮から、第1ステージのアッテネーションレベルは最小に抑えられ、目標値を達成するためのアシストとして用いられます。
第2ステージのアッテネーションレベルが最大値に達すると、はじめて第1ステージがアッテネーションを開始。
しかしながら、実際に良く使われるポリュームレベルでは、第1ステージはほぼ“0”に近い値にとどまります。
この回路は、すべての調整レベルで0.5dBの精度を保証しますが、調整のステップはボリュームレベルが非常に低くなったとき、最初1dB、次は2dBというように累進式の値、を示します。こうして、きわめて自然なアッテネーションカーブを得るとともに、より大幅なアッテネーションレンジでも0.5dBステップの合算から成り立っているため、非常に正確な値が実現されます。
IA-1zの「高精度レジスタ・アレイ型マルチチャンネル・アッテネーター」は、すべてのボリュームレベルで、また全チャンネルにわたって、ギャングエラーがわずか±0.5dBという精緻さ。一般的なボリュームでは±3dBものギャングエラーが発生するケースすらあります。
また、モータードライブなどのメカ機構や慴動部、接点などのメカニカルな要素が一切なく、ローレベルからハイレベルまで均一な特性をキープ。加えて、キヤリプレーション、音量調整、バランス調整を本質的に1段の回路のみで行っているため、音質への影響は極限まで抑えこまれています。この結果、情報の欠落がなく、音の豊かさ、音楽の温もりをそのまま伝えるIA−1zのハイクオリティサウンドに大きく寄与しています。
●高精度レジスタ・アレイ型マルチチャンネル・アッテネーターの機能
・ドルビーサラウンド用チャンネルレベル・キヤリプレーション:
各チャンネルのボリュームコントロールから、レベルキヤリプレーションに必要な分のゲインが割り当てられます。
・マスターレベルコントロール:
フロントL/Rのレベル調整を同時に行います。また、Sch+サブウーフアーの、計6ch
のレベル調整を同時に行います。
・バランスレベルコントロール:
フロントL何のオフセットレベル調整を同時に行います。
●高精度レジスタ・アレイ型マルチチャンネル・アッテネーターの規格
・調整変化幅:75dB
・ステップ :0〜−34.5dB/0.5dBステップ
-35〜-54dB/1dBステップ
-55dB〜−75dB/2dBステップ
[2]ハーモニック・タイム・アライメント(HTA)アンプ
IA−1zのパワーアンプ部に搭載した「ハーモニツク・タイム・アライメントアンプ」は、米国ナカミチのリサーチセンターのエンジニアによって構築された理論に基づくもので、NFBがもたらす“基音と歪成分の時間ズレ”の解消に焦点をあてた、ナカミチ独自の回路技術です。
実験によれば、NFBをかけていないアンプは多量の高調汲歪を発生していますが、基音信号と歪成分は時間的なズレが生じていません。トランジスタアンプの多くにみられる、歪低減のための多量のNFBの使用は、この正しい位相関係を破壊してしまうのです。
もし、増幅された音楽信号とその高調波成分が正しく時間調整されていれば、マスキング効果が生じ歪を知覚しにくくなります。逆に、音楽信号と歪成分の位相がズレていると、わずかな歪さえ耳につきます。このことは、高調波歪の多いアンプがかえって歪の少ないアンプより音質的に優れているといった、しば、しば出会う現実を裏づけています。
また、管球アンプの音について、低域は凡庸でも中高域はすばらしいという評判があることにも一脈通じます。
歪成分の位相を変化させる実験で、典型的な管球アンプでは中高域の位相は十分に調整されているものの、低域についてはあまり調整されていないことが判りました。
その逆に、ほとんどのトランジスタアンプは低域がうまく調整されており、「トランジスタアンプは超低域がすばらしい」という定説とも符合します。
HTAアンプは、広帯域、低ゲイン・オープンループ設計により、仝オーディオ帯域にわたって正しく時間調整されています。NFB量はわずかなレベルに抑えてあり、さらに重要なことは、オーディオ帯域を通じてNFB量を一定に保っていることです。
図3−Aは、典型的なトランジスタアンプのオープンループ特性。比較的高ゲインで、カットオフ周波数は20kHzを大きく下回っています。カットオフ周波数以上の出力帯域では、位相の変化の増加がみられます。このような特性をもつアンプでは、オーディオ帯域内でNFB量を変化させる必要があります(図3−B)。周波数との相関によるNFBの変化率によって歪成分の位相回転の程度が変わるため、高域におけるハーモニック・タイム・アライメントが不十分なものにならざるを得ません。
HTAアンプでは、20kHzをはるかに超えたポイントにカットオフ周波数が移動されており、同時にオープンループゲインが低く抑えられています(図3−C)。
このため、より均一でわずかなNFBの使用が可能になります。オーデイオ帯域内における歪成分の位相の変化は、事実上一掃されたといっても過言ではありません。この結果、十分なハーモニツク・タイム・アライメントが得られています。
HTAの音は、最良のトランジスタアンプで聴くことができる量感にとんだ切れのいい重低音と、管球アンプと見まがう暖かみのあるクリアな中高域を併せもちます。そこから生まれるあくまでも自然な音場感に音楽の至福を感じていただけるでしょう
図3

lA−1z主な規格
[コントロールアンプセクション]
アナログオーディオセクション
| 入 力 | 9(CD,Tuner,Aux,Tapel,Tape2,LD,DVD/BS,VCR,TV/Aux) |
| Rec出力 | 3(Tap61,Tape2,VCR) |
| メイン出力 | 6チャンネル(FrontL/R・Center,RearL/R,Subwoofer) |
| リモート出力 | 2チャンネル(L/R) |
| 入力感度/インピーダンス | 250mV/47kΩ |
| 定格出力レベル/インピーダンス | |
| メイン出力 | 1V/1kΩ |
| リモート出力 | 500mV/1kΩ |
| Rec出力 | 250mV/1kΩ |
| サブウーファー出力 | 1.65V/1kΩ |
| 最大メイン出力レベル | 8V |
| 全高調波歪率 | 0.01%以下(20〜20,000Hz) |
| 周波数特性 | 10〜50,000Hz+0,-3dB |
| SN比 | 90dB以上(A−WTD、入力ショート) |
| チャンネルセパレーション | 70dB以上(1kHz、入力ショート) |
デジタルオーディオセクション
| 入 力 |
CD 1、同軸 LD(AC-3) 1、同軸 LD(PCM) 1、同軸 DVD/DBS 1、同軸、光ファイバー選択式(AC-3/PCM) |
| 入力インピーダンス | 75Ω |
| 最大出力レベル(D/A変換後、0dB) | |
| メイン出力 | 7V/1kΩ |
| Rec出力 | 2V/1kΩ |
| サブウーファー出力 | 8V/1kΩ |
| 全高調波歪率 | 0.01%以下(1kHz、0dB) |
| 周波数特性 | 10〜20,000Hz+0,-5dB |
| SN比 | 100dB以上 |
| ダイナミックレンジ | 95dB |
| チャンネルセパレーション | 90dB以上 |
出力レベルコントロールセクション
| ゲインレンジ | -75〜0dB(レベル0〜最大100) |
| ゲインレンジ構成 | |
| 2dBステップ | -75〜-55dB(レベル0〜10) |
| 1dBステップ | -54〜-35dB(レベル11〜30) |
| 0.5dBステップ | -34.5〜0dB(レベル31〜100) |
| オーディオミュート | -75dB(レベル0)/ユーザー調整範囲 -75〜35dB(レベル0〜30) |
IA-1zのボリューム
| 100 | 0dB | 55 | -22.5dB | 30 | -35dB |
| 90 | -5dB | 50 | -25dB | 25 | -40dB |
| 80 | -10dB | 45 | -27.5dB | 20 | -45dB |
| 70 | -15dB | 40 | -30dB | 15 | -50dB |
| 65 | -17.5dB | 35 | -32.5dB | 5 | -65dB |
| 60 | -20dB | 0 | -75dB |