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管球式ヘッドフォン「ValveX」〜5.1chバーチャル

2001/8/15

これまでのところ ヤフオクでGETした、ソニーのバーチャルサラウンドヘッドフォンセット(MDR-DS5000)を付属のワイヤレスモデルの音からスタートして、ちょっとした実験くんを重ねてきましたが、

私なりのここまででわかったことを簡単にまとめてみると・・・

1.付属ヘッドフォン

これは、なかなかによくできてます。
ワイヤレスによるS/N等の問題は、通常使用においては無視できるレベルだと思います。付属のヘッドフォンのフルオープンの独特の形状は、メーカーサイドでそれなりに研究されたようで、ことバーチャルな5.1chの再現については、それなりのものがあります。


爆発音などは、音量を上げるとそれなりの臨場感はでてきますが、やはりエネルギー感は物足りません。ただし、SWの量感だけで、「ぶよぶよ」で音が聴こえないような、お手ごろ5.1chセットよりは、音質的にはまともなように思います。

また、低域の量感がでないのは、そもそもが長時間の映画サウンドと耳の健康を考えてのことなのかと思ってしまいますが、このあたりはメーカー設計人に聴いてみないとわかりませんね。

2.音質優先かバーチャル感か?

DVDPからヘッドフォンプロセッサーに光デジタルケーブルで接続し、これをバーチャル回路を通すのと通さないのを聞き比べると、音の質や密度感については、バーチャルでないほうが圧倒的に上です。そうなると、ハリウッドのアクション映画ではなく、モノラルの映画やドラマ映画等で声の質感を重視していくと、通常の2chで聴くべきということになります。

このあたりは、スピーカーシステムと同様であり、AVアンプ+5.1chスピーカーよりも、それなりのオーディオコンポーネントで聴く2ch再生のほうがより映画を楽しめるというのと同様でしょう

3.バーチャル再現と音のクオリティ

これまでの、わたしなりのテストでわかったことは

  • 「サラウンド(とくにリア定位)については、付属ヘッドフォンおよびMDR-F1のような形状(オープンエア)が最適」であろうこと
  • プロセッサー内蔵のヘッドフォンアンプのドライブ力では、せっかくのデコード信号をいかしきれない
  • 音の鮮度と解像度をいかすには、通常のステレオコンポーネントの扱いと同じく、信号ケーブルの良否も影響する

ということで、ヘッドフォンについては、オープンエア型の「MDR-F1」(こいつは付属のヘッドフォンと形状がそっくりです)を、ヘッドフォン専用のアンプでドライブする。

信号ケーブル(デジタル)およびプロセッサー>ヘッドフォンアンプ間のケーブルのクオティアップを図ってみました


ヘッドフォン「MDR-F1」 デジタルケーブルにオルトフォンの「OPT1000」


真空管のヘッドフォンアンプ「ValveX」 MITインターコネクトT4i

試聴結果

ヘッドフォンアンプの効果

コラム124号と同じソースでまずはテスト。124号の引用部は色をかえてあります

「エアフォース・ワン」〜チャプター7。

大統領機がハイジャックされ、緊急着陸するために護衛の戦闘機が背後に回りこむシーン。

このシーンは、リビングシステムで聴くと圧巻の移動感とLFEのシーンなんですが、バーチャルヘッドフォンだと戦闘機が背後を回りこむ音場が再現できず、突然右から左へ音がまっすぐ抜けていってしまいます。また、SEもやはり量感不足のうえ、アンプがクリップしているようで苦しそう。

ケーブルをオルトフォンに替えると、ほんの心持ちですが、音の移動感と低域の量感が向上します。感覚としては、ダイナミックレンジには変化はなく、全体的に低域寄りにシフトする感じで音が安定する印象です。情報量も増えたような印象もありますが、これはかなり微妙で繋ぎかえて聞き比べないと断言できるレベルではありません。

ヘッドフォンアンプでドライブすると、戦闘機のSEなどの迫力とスピード感が段違いにかわってきます。音量をあげても破綻はなく、ズドーンといくる低域と背後を回り込む定位と移動感が、画面のイメージどおり再現できます。

また、低域の量感の増加と併せて、高域などについても音がクリアになり、あまり音量をあげるとさすがに耳が苦しい!

「M:I2」〜チャプター14。

敵のアジトからの脱出シーンです。

BGM、ヘリのローターの音、敵の機銃がヘリにあたる跳弾、そしてガスタンクの爆破音のリアリティとスピード感の再現です。

このシーンもヘッドフォンでは、どれをとってもすっきりしないのですが、ケーブルを替えてもほとんど差がないというか、不満なところはまったく解消されません。

跳弾の音がやや重心がさがって落ち着く分だけ、スピード感が後退するような感じもあります

BGMについては、イメージどおりのダイナミックな感じとなり、ヘリのローター音にも重量感がでてきます。

ただ、このソースはもともと、抜けが悪いのか、爆破音や銃弾などは、いまひとつ「スカッ」とせずどうしてもこもった感じが残ります。つまり解像感の向上はあまり感じられませんが、このあたりは、ヘッドフォン端子経由でアンプにつないでいるところに無理があるのかもしれません

なお、チャプター3の、踊り子のタップの音のシーンでは、なかなかの音のキレと空間再現がでてきます

「もののけ姫」(輸入盤)〜オープニングのBGM

このソースの音は、個人的な印象ではレンジをよくばらず非常に洗練されていて、全編にわたって刺激的なところがなく全体的に大人のサラウンドを味あわせてくれるソースだと思ってますが、このソフトにかぎってはヘッドフォンで聴いてもかなりいけます。

ケーブル交換の違いはBGMで、音楽的に落ち着きがでて、これはそれなりの効果が認識されます。

このソースは、プロセッサーの端子からでもそこそこいけるのですが、ヘッドフォンアンプを通すと、いっそう「いい感じ」になってきます。

まず音楽や鳥の声や風の音の自然音からして、スピーカーを大型にしたようなゆったりとした感じがでてきます。このあたりは、付属のワイヤレスモデルでは絶対にだせない空間表現でしょう

さらに、「たたり神」が登場して、太鼓の音とともに曲がアップテンポになってからの、「やっくる(鹿)」や「たたり神」の足音などでも、軽快感と重力感がでてくるといった印象です

まとめ

ただ、いずれのソースもやはり不満が残るのは「声」の質感。

これは前方定位がどうのというのではなく、声質が軽いというか、女性の声などはけっこう耳につきます

ほんとはもう少し落ちついた感じがでるとよいのですが、このあたりはヘッドフォンをAKGに取り替えると「ぐーん」とよくなってきます。

しかしながら、AKGでは声質は聴き易いものの移動感や空間的なものが後退するので、まあどちらを採るかというとこでしょう。

なお、プロセッサーとヘッドフォンアンプのケーブルの比較試聴もおこなってみましたが、微妙に音違いはあるような気もしますが、正直なところブラインドなどでテストされるとあてられないかもしれないといったレベルです。

このあたりは前回のCDPからのケーブル比較とは違って、ヘッドフォンサラウンドの場合、DSPを介することと、やはりヘッドフォン端子経由なところに原因があるのかも知れません

なんといってもヘッドフォン端子>ヘッドフォンアンプつなぐと、アンプとボリューム回路を2回通るうえに、プロセッサーの段階で、増幅もおこなれていることになり、いわば、プリメインアンプのSP端子からプリメインにつなぐような接続になるわけで、本来の情報量や帯域バランスからははずれてしまうような気がします



比較したケーブル
AテクニカとMITのT4i

MITのTシリーズは、レンジ感やスピード、解像度的には特段の特徴はないものの、明るいながらも落ち着いた音が楽しめる、なかなかのバランスのよいモデルだと思っているのですが、もしかしたら真空管とのマッチングもあるのかもしれません

MITの上級モデルには、真空管用とトランジスター用とわかれていたりするのでそんなことを考えてしまいました


MITのターミネーターモジュール

今回は、真空管ヘッドフォンアンプによる試聴テストができましたが、前述したとおり、ヘッドフォン端子からの接続ではなく、プロセッサーからダイレクトにRCA用の信号を取り出してみたい探究心が残ります

どなたか、アンプ自作などの経験豊富な方がいらしたらアドバイスをお願いしたします

bebe1998@pdx.ne.jp